シェルリレイエと錬金術師
シェルリレイエは魔法使い
錬金術師の愛弟子で
魔法の力もたいしたものだが
お茶を入れれば　何より美味い

錬金術師は人形で
遠い昔に自分を創った
ドール・マスタァの思い出話を
聞かせることが日課のひとつ

　“マスタァは夏の日差しが苦手
　　手先が器用で魔法が得意
　　誰もが認める月中毒で
　　新月の日は眠って過ごす”


シェルリレイエは魔法使い
生まれてから七ヶ月と十日
魔法の力を錬金術に
どう活かすかが目下の課題

錬金術師は夢を見る
自分だけでは成しえなかった
ドール・マスタァとの再会を
その日はきっともうすぐそこに

　“マスタァの名前はユシエ
　　その姓はシェルリレイエ
　　朝日の色に輝く髪と
　　夜空の深さを映した瞳”


The alchemist succeeded in creating person at last through long time
However, it was only failure for the doll


シェルリレイエは魔法使い
生まれるはずのなかった存在
魔法の力もたいしたものだが
気づかぬふりが　何より上手い
あきれるほどの　親思い