美しい物語
この世界がまだ
美しかったころ
きみは風よりも透明な声で
届かない歌をうたっていた

この世界がまだ
美しかったころ
きみは翼の意味も知らずに
空を飛ぶことを夢見ていた


あまりに美しすぎた きみに
この世界は嫉妬したのだ と僕は思う


その子供じみた行いを
諭そうとする者は誰もいなかった
だから僕は一人きりで
この世界に立ち向かうことにした


そう


それは この世界がまだ
美しかったころの物語