一通の懺悔
【 一通の懺悔 】
拝啓
突然お手紙を差しあげる失礼を、どうかお許しください。
知らない人間からのこんな手紙を、あなたは不快に思われるでしょうか。――いいえ、たとえそうであったとしても、こうして筆を取ったからには、お伝えしたいと思います。あなたが今、幸せな家庭を築いていることは知っていますが、それでも告白したいのです。
私は、あなたを愛しています。――あなたをずっと、愛していました。
私は、あなたを愛しています。今も、そしてきっとこれからも。
長い間、私はこの想いをあなたに告げるべきか否か、とても迷っていました。あなたに余計な懸念を抱かせるだけになるのでは、と悩んでもいました。けれど、私はこの想いを、どうしてもあなたに伝えずにはいられなくなったのです。
ああ、どうか許してください。
あなたを愛してしまったことを、どうか許してください。
この身勝手な想いを、あなたにこんなことを伝えてしまう私を、どうか許してください。あなたを愛し続けてしまうことを、どうか、許してください。
私は、あなたやあなたの周りの方に迷惑をかけるようなことは、望んでいません。私はただ、あなたの幸せを願っているだけです。そして、あなたの愛する方々の幸せを願っているだけなのです。――心から。
長々と書き連ねてしまい、申し訳ありませんでした。このごろは、日が暮れるのが早くなりました。夜風は思いのほか冷ややかですので、お体にはお気をつけて。
敬具
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